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幸せになるために生きていく。人生のドン底から這い上がっている彼と伴に歩く。


by mayumi-bretonne
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『地球交響曲第三番』  ~星野道夫さんについて~

『地球交響曲第三番』  ~星野道夫さんについて~_e0087834_20412459.jpg「セスナの窓ガラスにつけた額が太陽のぬくもりで暖かい。解氷してまもないユーコン川がキラキラと光りながら大地をうねっている。眼下に散らばる無数の湖沼は、名前さえついてはいない。きっとあの水辺に立った者などかつて誰もいないのではないか。人間の世界とは関わりのない、それ自身の存在のための自然。アラスカのもつその意味のない広がりにずっと魅かれてきた。」
            星野道夫 『旅をする木』より

私が星野道夫さんを知ったのは、たしか今から5,6年前、この『旅をする木』を購入したことがきっかけでした。
星野さんは、大学生の時にアラスカのエスキモーの村の航空写真に魅せられます。そして、その村で3ヶ月過ごしたことが彼の人生を大きく変えました。
この本は、アラスカ生活での様々な人との関わり、彼の仕事であるカメラを通して<彼の心のフィルターで写し撮った、繊細かつ雄大な自然>を優しい語り口で綴ったものです。
とても分かりやすい表現で、あまり知られていないアラスカの風景を簡単に想像することができる、そして、読むたびに心が穏やかになる。。。そんなエッセイ集です。

1996年、星野さんはカムチャッカにて不慮の事故で亡くなります。44歳でした。

まえがきが長くなりましたが、昨日私は『地球交響曲~ガイアシンフォニー・第三番~』というドキュメンタリー映画を観てきました。
この映画の出演者は、フリーマン・ダイソン(宇宙物理学者)、ナイノア・トンプソン(外洋カヌー航海者)そして、星野道夫さん。彼は撮影の直前に亡くなってしまいます。
彼の親しかった友人らが思い出を語る、という構成で話は進んでゆきます。
「ミチオの魂は大丈夫だと思う。きっと奥さんや子供を別の形になって守っていると思うわ。もちろん私達も二人を助けてゆくわ」とメアリー。メアリーは、彼が亡くなってすぐに小さな植物を買い、ミチオと名付けました。その植物に話しかけながら、ゆっくりとマグカップで水を与え、残った水を彼女は飲み干します。
アラスカ先住民族の語り部に選ばれたボブは言います。「私は最近ミチオが<カーツ>という名を与えられていたことを知りました。(先住民族の名前で熊の一族に属する、という意味)彼はこの道を自分で選んだのかも知れません」
実は星野道夫さんが亡くなった理由-不慮の事故というのは、熊に襲われて亡くなったのです。(彼の風貌もクマのプーさん顔。少しのっぽさんにも似ている)

ある春の日の、森の中の少しだけひらけた場所に建つトーテムポールは、遥か彼方、時を越えて、まるで私達にメッセージを送り続けているようです。
映し出されるマイナス40度のアラスカは、
私が想像していたような、ただただ白い極寒の風景でした。
そしてミチオの友人達は、
私が想像していた以上に優しく、神秘的で、永遠を信じ、大きな愛で満ち溢れています。
途中、私は涙が止まらなくなっていました。
気が付くと会場のいくつもの場所から、やはり同じ気配を感じます。
『アメイジング・グレイス』や『Ave Maria』が流れる会場全体の空気が、温かいオーラに変わったのを感じたのは私だけでしょうか。

『地球交響曲第三番』  ~星野道夫さんについて~_e0087834_061232.jpg『地球交響曲第三番』  ~星野道夫さんについて~_e0087834_23551968.jpg


追伸:この『地球交響曲』は第5番まであり、現在第6番をインドにて撮影中です。
第1番はエンヤやケルト美術研究家の鶴岡真弓さん、そして第2番はダライラマや、グランブルーのモデルになったジャックマイヨールも出演しています。
by mayumi-bretonne | 2006-01-15 23:50 | 映画